みなし訪問看護を立ち上げる方法

「みなし訪問看護を始めたいが、何から準備すれば良いのか分からない…」そんな悩みを抱えていませんか?

この記事では、病院や診療所が新たに指定を受けることなく訪問看護を提供できる「みなし訪問看護」の立ち上げ方法を徹底解説します。

制度の仕組みや指定との違い、メリット・デメリットまで網羅し、開業を検討中の方が知っておくべきポイントをわかりやすく解説しています。この記事一つで、みなし訪問看護の全体像が掴めます。

目次

みなし訪問看護を立ち上げる方法

みなし訪問看護は、病院や診療所といった保険医療機関が、新たに訪問看護ステーションの指定を受けることなく、訪問看護サービスを提供できる制度です。新規開設に比べて手続きや設備、人員面での要件が緩やかなため、在宅医療への参入ハードルが低く、地域医療の拡充にもつながる有効な選択肢です。ここでは、みなし訪問看護を立ち上げる具体的な手順を解説します。

1. 体制整備と院内調整

まずは院内体制の見直しから始めます。主治医や事務部門、看護部門など関係部署と「訪問看護サービスを開始する意義と目的」を共有し、対象となる患者像や提供するサービスの範囲を明確にします。すでに訪問診療を実施している場合は、スムーズに連携体制を構築しやすいですが、未実施の施設では外来との連携方法もあらかじめ検討しておくとよいでしょう。

2. サービス運用ルールの策定

みなし訪問看護には「事業所ごとのマニュアル」や「対応可能なサービス範囲」など、独自の運用ルールを設けておく必要があります。たとえば、緊急時対応の可否や訪問時間帯、夜間・休日の連携体制などを文書化し、スタッフ間で共有することが重要です。また、医師の指示は診療録内で記載すれば訪問看護指示書の代用が可能なため、記録体制も整備しておきましょう。

3. スタッフの配置と教育

訪問看護を実施する看護師の確保が必要です。みなし指定では人員配置の要件が厳密には定められていませんが、利用者対応に支障が出ない「適正な人数」の配置が求められます。経験者を採用するか、院内研修や外部セミナーで在宅医療に関する知識・技術を習得させておくと、サービスの質を保つうえで効果的です。

4. 必要書類・同意書の準備

利用者との契約にあたっては、医療保険・介護保険それぞれの制度に応じた同意書や説明書が必要です。とくに介護保険で訪問看護を提供する場合は、ケアマネジャーとの情報共有体制を整えておきましょう。

5. 各種届出と実施体制の確認

みなし訪問看護は、指定訪問看護ステーションと異なり、都道府県への新たな事業所指定申請は不要です。ただし、介護保険サービスとして実施する場合は、介護給付費算定に係る届出などが必要になります。

みなし訪問看護の立ち上げは、比較的スムーズに実施できる反面、院内連携や記録管理、保険制度への理解が不可欠です。しっかりとした準備と運用体制を整えることで、無理なく在宅支援をスタートでき、地域ニーズにも応えられるサービス展開が可能になります。

みなし訪問看護と指定訪問看護の違い

訪問看護サービスには、「みなし訪問看護」と「指定訪問看護」の2つの提供形態があります。これらは、提供主体や運営基準、サービス対象者などにおいて違いがあります。

みなし訪問看護

みなし訪問看護とは、病院や診療所などの保険医療機関が、特別な指定を受けずに訪問看護サービスを提供する形態を指します。この場合、医療機関は介護保険法上、自動的に訪問看護事業者としてみなされるため、「みなし指定」と呼ばれます。

指定訪問看護

一方、指定訪問看護は、独立した訪問看護ステーションが都道府県知事などから正式な指定を受けてサービスを提供する形態です。この場合、訪問看護ステーションは、介護保険および医療保険のサービス提供事業者として認められます。

主な違い

項目みなし訪問看護指定訪問看護
人員基準看護職員を「適当数」配置保健師、看護師または准看護師を常勤換算で「2.5名以上」配置
設備基準専用の区画を確保し、必要な設備・備品を備える事務室を設け、必要な設備・備品を備える
対象者当該医療機関で診療を受けている患者および他の医療機関の医師から診療情報提供を受けた患者訪問看護指示書を受けた方
訪問看護指示書不要(診療録に指示を記載)必要
基本報酬30分以上60分未満:573単位30分以上60分未満:821単位
理学療法士等による訪問不可

これらの違いにより、みなし訪問看護は医療機関内での連携が取りやすい一方、サービス対象者が限定されるなどの特徴があります。一方、指定訪問看護は、より広範なサービス提供が可能であり、報酬面でも有利な点が多いです。

みなし訪問看護を立ち上げるメリット

みなし訪問看護を立ち上げることには、以下のようなメリットがあります。

1. 利用者の経済的負担が少ない

みなし訪問看護は、訪問看護ステーションと比較して保険請求費用が安価なので、利用者の自己負担額が抑えられます。これは、通院費や治療費など多額の医療費に悩む利用者にとって、大きなメリットとなります。

2. 医師との連携が図りやすい

みなし訪問看護では、原則として医療機関内に医師が在籍しているため、情報共有を速やかに行うことができます。これにより、ターミナル期を含む重症者や緊急訪問も行いやすくなります。

3. 継続的な支援が可能

病院などの有床医療機関がみなし訪問看護を行う場合、利用者が入院が必要となった際に、病棟の看護師との連携がスムーズに進みます。これにより、在宅生活から入院生活まで一貫した「継続看護」や「継続支援」が可能となり、利用者にとって安心感を提供できます。

4. 初期投資や人員確保の負担が少ない

既に医療機関を経営している場合、みなし指定を利用することで、初期投資や看護職の確保の点でメリットがあります。これは、訪問看護ステーションの新規開設と比較して、経営上の負担を軽減することができます。

5. 医師の負担軽減と診療の質向上

みなし訪問看護を導入することで、看護師が訪問対応を行うため、医師の負担を軽減できます。これにより、医師は診療に集中でき、診療の質向上や重症患者への手厚い対応が可能となります。

これらのメリットを踏まえ、みなし訪問看護の導入は、医療機関や利用者双方にとって有益な選択肢となり得ます。

みなし訪問看護を立ち上げるデメリット

みなし訪問看護を立ち上げる際には、以下のデメリットを考慮する必要があります。

1. 利益率の低さ

みなし訪問看護では、訪問看護ステーションと比較して診療報酬の単位数が少なく設定されています。例えば、所要時間30分以上1時間未満の訪問看護の場合、訪問看護ステーションでは819単位取得できるのに対し、みなし指定では571単位と約70%程度となっています。 このため、事業としての利益率が低くなる傾向があります。

2. サービス対象者の限定

みなし訪問看護は、原則として当該医療機関で診療を受けている患者のみが対象となります。そのため、地域全体で訪問看護を必要とする全ての利用者にサービスを提供する訪問看護ステーションと比較すると、サービス対象者の数が限られ、利用者数の拡大が難しい場合があります。

3. リハビリテーションの制約

みなし訪問看護では、理学療法士等の単独訪問でのリハビリテーションの実施や報酬請求ができません。リハビリテーションを提供するためには、理学療法士等が看護師に同行して実施する必要がありますが、その場合でも診療報酬は訪問看護費のみの請求となります。これにより、リハビリテーションの提供に制約が生じる可能性があります。

これらのデメリットを踏まえ、みなし訪問看護の立ち上げを検討する際には、事業運営上の課題や制約を十分に理解し、適切な対策を講じることが重要です。

まとめ

みなし訪問看護は、既存の病院や診療所が比較的スムーズに訪問看護サービスを開始できる仕組みであり、初期投資が少なく、医師との連携もしやすいという大きなメリットがあります。

一方で、報酬単価の低さやサービス対象者の限定、リハビリ提供の制約など、事業運営上の注意点も存在します。導入を検討する際は、これらの特徴を理解した上で、自院の体制や地域ニーズに合った形での活用を目指すことが成功の鍵となります。

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