「訪問看護ステーションを開業したいが、資金の負担が大きい…」と悩んでいませんか?実は、助成金や補助金を活用すれば、設備投資や人材育成、IT導入などにかかる費用を削減できます。しかし、「どんな制度があるの?」「どうやって申請するの?」と疑問を持つ方も多いでしょう。
この記事では、訪問看護の立ち上げに活用できる助成金・補助金を一覧でわかりやすく紹介し、それぞれの活用方法まで詳しく解説しますので、ぜひ最後までご覧ください!
助成金・補助金とは?
助成金と補助金は、国や地方自治体が特定の政策目標を達成するために、事業者や個人に対して提供する資金援助の制度です。これらは事業の立ち上げや運営において重要な資金源となります。
助成金
助成金は、主に厚生労働省が管轄し、雇用の促進や労働環境の改善など、労働関連の取り組みを支援する目的で提供されます。特徴として、所定の要件を満たせば、基本的に受給が可能である点が挙げられます。例えば、雇用調整助成金などがこれに該当します。
補助金
一方、補助金は、主に経済産業省や地方自治体が管轄し、新技術の開発や地域経済の活性化など、特定の政策目標に合致した事業を行う企業や団体を支援するために提供されます。しかし、補助金は採択件数や金額が予め決まっていることが多く、申請すれば必ずしも受給できるわけではありません。申請内容の審査が行われ、限られた提案のみが採択される傾向があります。
これらの違いを理解し、適切な資金援助を活用することで、訪問看護ステーションの立ち上げや運営を円滑に進めることが可能となります。
訪問看護の立ち上げに使える助成金・補助金一覧表
助成金・補助金名 | 概要 | 主な活用例 | 補助額・補助率 |
---|---|---|---|
業務改善助成金 | 事業場内の最低賃金を一定額以上引き上げ、生産性向上のための設備投資等を行う中小企業・小規模事業者を支援する助成金です。 | 設備投資や人材育成など。 | 最大600万円。 |
キャリアアップ助成金 | 非正規雇用労働者のキャリアアップや雇用安定を図るための助成金です。 | 有期雇用労働者を正社員に転換する際など。 | 最大72万円。 |
両立支援等助成金 | 従業員が育児や介護と仕事を両立できる職場環境を整備する事業主に対して支給される助成金です。 | 育児休業取得促進や介護離職防止のための制度導入など。 | 最大57万円。 |
65歳超雇用推進助成金 | 65歳以上への定年引上げや定年制の廃止など、高年齢者の雇用機会を拡大する取り組みを行う事業主に対して支給される助成金です。 | 定年の引上げや継続雇用制度の導入。 | 最大160万円。 |
IT導入補助金 | 中小企業や小規模事業者がITツールを導入する際の費用の一部を補助する制度です。 | 電子カルテや訪問スケジュール管理ソフトの導入など。 | 補助率1/2以内、上限450万円。 |
ICT補助金 | 介護現場におけるICT化を促進するため、各自治体が提供する補助金制度です。 | 介護ソフトや通信環境機器、情報端末などの導入。 | 各自治体により異なる。 |
特定求職者雇用開発助成金 | 高年齢者や障害者など、就職が特に困難な求職者を雇用する事業主に対して支給される助成金です。 | 人材確保と社会的貢献を同時に実現。 | 最大240万円。 |
事業再構築補助金 | 新分野展開や業態転換など、事業再構築に取り組む企業を支援する補助金です。 | 新たなサービス提供や事業モデルの構築。 | 補助率1/2~2/3、上限1億円。 |
地域創業支援補助金 | 各自治体が地域経済の活性化や雇用促進を目的として提供する創業支援の補助金です。 | 設備投資や事業計画策定に関する費用。 | 各自治体により異なる。 |
働き方改革推進支援助成金 | 労働時間の短縮や年次有給休暇の取得促進など、働き方改革に取り組む中小企業事業主を支援する助成金です。 | 労働環境の改善や生産性向上。 | 最大100万円。 |
これらの助成金・補助金を効果的に活用することで、訪問看護ステーションの立ち上げや運営における資金負担を軽減し、事業の成功に近づけることができます。各制度の詳細や申請手続きについては、専門家に相談することが重要です。
①業務改善助成金の活用例
業務改善助成金は、中小企業の生産性向上を支援する制度で、職場環境の改善や設備導入に利用できます。訪問看護ステーションでは、医療機器の導入や環境づくりに役立ちます。
活用例1:電子カルテシステムの導入
訪問看護ステーションにおいて、紙ベースの記録管理は情報共有の遅れや記録の紛失リスクを伴います。業務改善助成金を活用して電子カルテシステムを導入することで、リアルタイムな情報共有が可能となり、業務効率が大幅に向上します。これにより、看護師間の連携が強化され、患者へのサービス品質も向上します。
活用例2:訪問スケジュール管理ソフトの導入
訪問看護では、スタッフのスケジュール管理が複雑になりがちです。業務改善助成金を利用して訪問スケジュール管理ソフトを導入することで、訪問計画の立案や変更が容易になり、スタッフの負担軽減とサービスの質向上が期待できます。
活用例3:労務管理システムの導入
労務管理の効率化は、スタッフの働きやすさに直結します。業務改善助成金を活用して労務管理システムを導入することで、労働時間の適正管理や給与計算の自動化が可能となり、管理部門の負担軽減とコンプライアンスの強化が図れます。
活用例4:スタッフ休憩スペースの改善
スタッフの休憩環境の整備は、職場満足度に影響を与えます。業務改善助成金を利用して快適な休憩スペースを設けることで、スタッフのリフレッシュが促進され、業務効率やサービス品質の向上につながります。
活用例5:感染予防対策設備の導入
訪問看護ステーションにおいて、感染予防対策は重要な課題です。業務改善助成金を活用して非接触型の体温計や手指消毒器を導入することで、スタッフと利用者の安全を確保し、安心してサービスを提供できる環境を整備できます。
これらの活用例を通じて、業務改善助成金は訪問看護ステーションの運営効率化やサービス向上に寄与します。適切な設備投資と労働環境の整備を行うことで、スタッフの満足度と利用者へのサービス品質の向上が期待できます。
②キャリアアップ助成金の活用例
キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者のキャリアアップを促進し、雇用の安定化を図るための制度です。訪問看護ステーションにおいても、この助成金を活用することで、スタッフの定着率向上やサービス品質の向上が期待できます。
活用例1:有期契約職員の正社員化
訪問看護ステーションでは、パートタイムや有期契約で働く看護師やスタッフが多く存在します。これらのスタッフを正社員として雇用転換する際に、キャリアアップ助成金を活用することが可能です。これにより、スタッフの雇用安定とモチベーション向上が期待できます。
活用例2:賞与・退職金制度の導入
非正規雇用のスタッフに対して、新たに賞与や退職金制度を導入する場合も、キャリアアップ助成金の対象となります。これにより、スタッフの福利厚生が充実し、職場への定着率が向上します。
活用例3:人材育成のための研修実施
スタッフのスキルアップを目的とした研修を実施する際にも、キャリアアップ助成金を活用できます。例えば、訪問看護に特化した専門的な研修を行うことで、サービスの質を高めるとともに、スタッフのキャリア形成を支援します。これにより、利用者への提供価値が向上し、事業全体の競争力強化につながります。
活用例4:多様な正社員制度の導入
短時間正社員制度や勤務地限定正社員制度など、多様な正社員制度を導入することで、スタッフの多様な働き方を支援できます。これらの制度導入により、キャリアアップ助成金の対象となり、助成金を受け取ることが可能です。これにより、スタッフのワークライフバランスが向上し、職場環境の改善が期待できます。
活用例5:健康診断制度の拡充
非正規雇用労働者に対して、法定外の健康診断を実施するなど、健康管理制度を拡充することでも、キャリアアップ助成金の対象となります。これにより、スタッフの健康維持をサポートし、職場全体の生産性向上につながります。
以上のように、キャリアアップ助成金を活用することで、訪問看護ステーションの人材育成や労働環境の改善を図ることができます。これらの取り組みは、スタッフの定着率向上やサービス品質の向上に寄与し、事業の安定的な運営に大きく貢献します。
③人材開発支援助成金の活用例
人材開発支援助成金は、事業主が従業員の職業能力開発を推進する際に活用できる制度で、訪問看護ステーションの立ち上げや運営においても有効です。以下に、具体的な活用例を紹介します。
活用例1:新人看護師向けの基礎研修の実施
訪問看護の現場では、看護師が一人で利用者宅を訪問するケースが多いため、即戦力となるスキルが求められます。新人看護師に対して、訪問看護の基本的な技術やマナー、緊急時の対応方法などを習得させるための基礎研修を実施することで、サービスの質を高めることが可能です。このような研修にかかる費用や研修中の賃金の一部が助成対象となります。
活用例2:専門スキル習得のための外部研修参加
訪問看護ステーションでは、リハビリテーションや認知症ケア、終末期ケアなど、専門的な知識や技術が求められる場面が多々あります。スタッフがこれらの専門スキルを習得するために、外部の専門研修やセミナーに参加する際の費用や、参加中の賃金の一部が助成されます。これにより、スタッフの専門性を高め、利用者へのサービス向上につなげることができます。
活用例3:管理者向けマネジメント研修の実施
訪問看護ステーションの運営には、スタッフの労務管理や業務効率化、利用者との調整など、管理者のマネジメント能力が重要となります。管理者やリーダー層に対して、マネジメントスキルやリーダーシップを向上させるための研修で、組織としてのパフォーマンス向上が期待できます。これらの研修にかかる費用や研修中の賃金の一部も助成の対象となります。
活用例4:ICT活用スキル向上のための研修
近年、訪問看護の分野でもICT(情報通信技術)の導入が進んでおり、電子カルテやオンライン会議システムの活用が一般的になっています。スタッフがこれらのICTツールを効果的に活用できるよう、操作方法や活用術を学ぶ研修を実施することで、業務効率化や情報共有の促進が図れます。このような研修も助成金の対象となります。
活用例5:OJT(オン・ザ・ジョブ・トレーニング)の実施
新入社員や経験の浅いスタッフに対して、実際の業務を通じて指導を行うOJTを計画的に実施することで、実践的なスキル習得を促進できます。OJTの計画策定や指導者の育成にかかる費用も、助成金の対象となる場合があります。これにより、組織内での効果的な人材育成が可能となります。
これらの活用例を通じて、人材開発支援助成金を効果的に活用することで、訪問看護ステーションの人材育成やサービス品質の向上を図ることができます。助成金の詳細や申請手続きについては、厚生労働省の公式サイトや関連資料を参照し、適切な計画を立てることが重要です。
④両立支援等助成金の活用例
両立支援等助成金は、従業員が育児や介護と仕事を両立できる職場環境を整備する事業主に対して支給される助成金です。訪問看護ステーションにおいても、この助成金を活用することで、スタッフのワークライフバランスを支え、職場定着率の向上や人材確保に寄与することが期待できます。
活用例1:育児休業取得を促進するための環境整備
男性スタッフが育児休業を取得しやすい職場環境を整えることで、出生時両立支援コースの助成金を受け取ることが可能です。具体的には、育児休業取得を促進するための社内制度の整備や、業務の引き継ぎ体制の構築などが該当します。これにより、男性スタッフの育児参加を促進し、職場全体の働きやすさを向上させることができます。
活用例2:介護離職防止のための支援制度導入
スタッフが家族の介護と仕事を両立できるよう、介護休業や短時間勤務制度を導入することで、介護離職防止支援コースの助成金を活用できます。これにより、介護を必要とする家族を持つスタッフの離職を防ぎ、経験豊富な人材の継続的な勤務を促進します。
活用例3:不妊治療と仕事の両立支援
不妊治療を受けるスタッフが安心して働き続けられるよう、休暇制度やフレックスタイム制度を導入することで、不妊治療両立支援コースの助成金を受け取ることが可能です。これにより、スタッフの多様なニーズに応じた柔軟な働き方を提供し、職場の魅力を高めることができます。
活用例4:育児休業中の業務代替者への手当支給
育児休業を取得するスタッフの業務を代替する従業員に対して手当を支給することで、育休中等業務代替支援コースの助成金を活用できます。これにより、業務の円滑な引き継ぎと、代替業務を行うスタッフのモチベーション維持が期待できます。
活用例5:柔軟な働き方を可能にする制度の導入
短時間勤務やフレックスタイム制度など、柔軟な働き方を可能にする制度を導入することで、柔軟な働き方選択制度等支援コースの助成金を受け取ることができます。これにより、スタッフの多様なライフスタイルに対応し、職場全体の働きやすさを向上させることができます。
これらの取り組みにより、訪問看護ステーションはスタッフの仕事と家庭の両立を支援し、働きやすい職場環境を構築することが可能となります。結果として、スタッフの定着率向上や人材確保に繋がり、質の高いサービス提供を維持することが期待できます。
⑤T導入補助金の活用例
IT導入補助金は、中小企業や小規模事業者がITツールを導入する際の費用の一部を国が補助する制度です。訪問看護ステーションにおいても、業務効率化やサービス品質向上を目的として、この補助金を活用することが可能です。
活用例1:電子カルテシステムの導入
訪問看護の現場では、紙ベースの記録管理が主流である場合、情報の共有や検索に時間がかかることがあります。IT導入補助金を活用して電子カルテシステムを導入することで、リアルタイムな情報共有が可能となり、業務効率が向上します。これにより、看護師間の連携が強化され、患者へのサービス品質も向上します。
活用例2:訪問スケジュール管理ソフトの導入
訪問看護では、スタッフのスケジュール管理が複雑になりがちです。IT導入補助金を利用して訪問スケジュール管理ソフトを導入することで、訪問計画の立案や変更が容易になり、スタッフの負担軽減とサービスの質の向上が期待できます。
活用例3:オンライン会議システムの導入
スタッフ間の情報共有や研修を効率的に行うために、オンライン会議システムの導入が有効です。IT導入補助金を活用してこれらのシステムを導入することで、遠隔地のスタッフとも円滑にコミュニケーションを図ることができ、組織全体の連携強化につながります。
活用例4:業務改善助成金との併用
IT導入補助金と業務改善助成金を併用することで、より効果的な業務改善が可能となります。例えば、電子カルテシステムの導入により業務効率化を図り、同時にスタッフの労働環境を改善することで、サービスの質と職場環境の両方を向上させることができます。
これらの活用例を通じて、訪問看護ステーションはIT導入補助金を効果的に活用し、業務効率化やサービス品質の向上を実現することが可能です。補助金の詳細や申請手続きについては、経済産業省の公式サイトや関連団体の情報を参照し、適切な計画を立てることが重要です。
⑥ICT補助金の活用例
ICT(情報通信技術)補助金は、介護現場におけるICTツール導入を促進するため、各自治体が提供する補助金制度です。訪問看護ステーションにおいても、この補助金を活用することで、業務効率化やサービス品質の向上を図ることが可能です。以下に、具体的な活用例を紹介します。
活用例1:介護ソフトの導入
訪問看護ステーションでは、利用者の情報管理や業務記録の効率化が重要です。ICT補助金を活用して介護ソフトを導入することで、記録業務の効率化や情報共有の迅速化が可能となり、スタッフの業務負担軽減とサービス品質の向上が期待できます。
活用例2:情報端末の導入
タブレット端末やスマートフォンなどの情報端末を導入することで、訪問先でのリアルタイムな情報入力や確認が可能となります。ICT補助金を利用してこれらの端末を整備することで、業務の効率化と正確性の向上が図れます。
活用例3:通信環境の整備
Wi-Fiルーターなどの通信環境機器を導入し、安定した通信環境を整備することで、スタッフ間の情報共有やオンライン会議の円滑化が可能となります。ICT補助金を活用して通信環境を整えることで、業務の効率化と連携強化が期待できます。
活用例4:オンライン資格確認システムの導入
訪問看護ステーションにおいて、利用者の資格確認をオンラインで行うシステムを導入することで、事務作業の効率化と正確性の向上が図れます。ICT補助金を活用してこのようなシステムを導入することで、業務全体の効率化が期待できます。
活用例5:スタッフ向けICT研修の実施
新たに導入したICTツールを効果的に活用するために、スタッフ向けの研修を実施することが重要です。ICT補助金を活用して研修を行うことで、スタッフのスキル向上と業務効率化が期待できます。
これらの活用例を通じて、ICT補助金を効果的に利用することで、訪問看護ステーションの業務効率化やサービス品質の向上を実現することが可能です。補助金の詳細や申請手続きについては、各自治体の公式サイトや関連資料を参照し、適切な計画を立てることが重要です。

まとめ
訪問看護ステーションの立ち上げには、多額の資金が必要ですが、助成金や補助金を活用することで、負担を軽減し、スムーズな開業が可能です。
今回の記事で紹介した業務改善助成金、キャリアアップ助成金、IT導入補助金、ICT補助金などは、設備投資や人材育成、業務効率化に役立ちます。適切な制度を選び、計画的に活用することが成功への鍵となります。最新の支援制度をチェックし、申請手続きを進めて、安定した事業運営を実現しましょう。